路上でバイオリンを弾いているおじいさんがいた。
なんの曲かはわからなかったが、優しい音色に心が穏やかな気持ちになった。
私はその人の前に置いてあったケースに硬貨をそっと入れた。
おじいさんは演奏を止めて、深々とお辞儀をして私にお礼を言った。
私は照れ臭くなり、半分笑顔でそそくさとそこを後にした。
あんな少しの硬貨を入れただけなのに、全身でお礼を言われた私はなんか見合ってないような気がして恥ずかしかったが、おじいさんと目が合ってその瞬間心があったかくなった。
お礼を言いたいのは私の方なのだ。