クラシックの曲は落ち着く。
カノンやG線上のアリアはほぼ毎朝聞いている。
ラフマニノフの交響曲第2番 第三楽章
クラシックの曲を色々聴いているうちにこの交響曲に出会った。
大袈裟だが、今までにこれほど心を揺さぶられる曲はなかったと言っても過言ではないくらいの衝撃だった。
旋律がとてつもなく優しい。そして、よく理由はわからないが号泣する。
一瞬で温かい愛に包まれる。
ラフマニノフについて少し調べたら、彼はひどい挫折を味わって、その後復活していた事を知った。
と言葉にするのは簡単だがどれほどの絶望を味わったのだろうか…。
そこでふと、オリンピックで浅田真央ちゃんがラフマニノフの曲を採用していた事を思い出した。
金メダルを期待されていた真央ちゃんは銀メダルだった。
その時の銀メダルをじっと手に取ってみている真央ちゃんの表情がなんとも言えなかった。
その次のソチオリンピックでの初戦ショートプログラムでうまくいかず、16位のスタート。
どれだけ本人がどん底に落ちたのかは想像しただけでも泣けてくる。
フリーではまたしてもラフマニノフの曲 ピアノ協奏曲第2番
そのフリーでの演技は真央ちゃんの全スケート生命を出し切ったかのような、何度も何度もこれでもかというくらいトリプルのジャンプを繰り返し、見ていた私は真央ちゃんもうやめてと思うくらい凄まじかった。
ジャンプに入る1瞬前の覚悟を決めた凛とした表情。 ただただ自分を信じ、やり遂げる芯の強さ。
最後のストレートライン。
全観客が一体となったリンクでの演技は最高潮に達した。
最後の瞬間まですべてに魂がこもっていた。あきらめずやり切った真央ちゃんは号泣した。もちろん、私も号泣してしばらく何も手につかなかった。
あの時の真央ちゃんの涙は一生いや、永遠に忘れない。
ふと、ラフマニノフの挫折からの復活と真央ちゃんがリンクした。
真央ちゃんがこの曲でロシアで最後のオリンピックで戦うという事は偶然ではなかったのだろう。
言葉でうまく言い表せないのがもどかしいが、ラフマニノフの重厚な楽曲と真央ちゃんのアスリート人生を掛けた素晴らしい唯一無二の芸術作品だと私は思う。
何かが引き寄せて、私たちに大きな感動を与えてくれたのは偶然ではないのだ。