遅咲きの八重桜もほぼ散ってしまった。
桜並木を歩いていた時、ふと感じた事。
桜の花ひとつひとつは地味だが、一斉に咲いた瞬間の、そして、その桜が並木となってずっと続いている光景を見ると圧巻で、感動する。
言葉にならない。綺麗とかそういうものではない。
魂が揺さぶられるというのか。
以前、戦時中、ビルマに派遣され亡くなってしまった兵士の逸話をネットで見た。
その一兵士は亡くなる前に戦友に日本の桜が見たかったと言って亡くなったそうだ。
私はこの兵士の気持ちが痛いほどわかる。
それぞれがそれぞれの花を懸命に咲かせる。桜の咲いている枝はたどっていくと大きな幹につながっていて、大地に根をしっかりと生やしている。
日本人は全員がつながっている、ひとつの大きな桜の木だと思う。
ニュースで桜の開花宣言の報道をしたり、桜前線は今どのあたりか教えてくれたりする。
どれだけ桜の事が気になるのか(笑)。
そして、桜が咲いたら花見をし、寒かった冬を乗り越えた自分達をねぎらう。
そして、全力で花を咲かせて一斉に散ってゆく。
この切なさを理解しているのが、唯一無二の私たち、日本人なのだと思う。