私が子供の頃、昭和の高度経済成長期。
まだ、みんなあまり豊かではなかった頃。
両親は共働きで決して裕福な家庭ではなかったが、多分、今思えば給料が出た後とかだったのだろう。家の近くの喫茶店兼スナックに時々外食に連れて行ってくれた。
外食するという事自体が特別でその日はとても嬉しかった。
いつも注文は決まっていて、ハンバーグステーキに、飲み物は父はウイスキー、母はバイオレットフィズだった。
私は絶対的にクリームソーダ一択だった。
クリームソーダの透明感が好きだった。自分はあの綺麗な色に惹かれて注文していたのだ。上にのっているクリームが混ざらないように慎重に先に食べ、いかに綺麗な色を保つかが自分の中での挑戦だった。
そして、失敗してクリームが混ざってしまった時のショックと言ったらなかった。
しかも、へたすると炭酸があふれ出してくる。
綺麗にソーダが透明なままで残った時にはすごく満足感があった。
食べ終わった後に、占いをする。小さな樽?みたいなものに小銭を入れるとちっちゃな穴から丸められた紙が出てきて占いが書いてある。
楽しかったな。
なんで、こんな事ふいに思い出したんだろうとふと思った。
まだ、希望があったあの頃の時代とクリームソーダの透明な緑色が重なり、そして、貧しいながらも必死で私たちを育ててくれた両親の思い出と共に美しい記憶となって私の中に残っている。
だから、こういう記憶はその瞬間をスタンプで押したように永遠に残り続けるのだ。
ファミレスもコンビニもないすべてレトロでアナログなあの時代…。
でも、ちっちゃな幸せがあった。